先日、仕事先でストレングス・ファインダーを使ったワークショップを開催した。
反省点が大量にあるワークショップで、終わった直後は超しょんぼりしてたのだけど、やっと人に話せるぐらいに回復してきたので自己反省も込めてここに共有しておこうと思う。

ストレングスファインダーとは何か
ストレングスファインダーとは、自分の「強み」を見つけ出す一種の性格診断テスト。書店で本を一冊購入すれば受験できる気軽さからか、テキストは常にAmazonビジネス書ランキングの上位に入っている。

なぜこれを実施することにしたか(表の目的)
仕事上で、メンバー各々に最高のパフォーマンスを発揮させるため。
私も今までいろんな人と一緒に仕事をしてきたけれど、最高のパフォーマンスがでる仕事の仕方というのは人それぞれであると痛感している。必ずしも威勢の良い人が絶対仕事ができるわけでもないし、環境と仕事の振り方次第では超目立たない人がものすごい成果を出すこともある。しかしどうも(自己主張から受ける印象なのか)、例えばリクルートの典型社員みたいな人は評価が勝手に高くなったり、逆の人は評価が下がりいい仕事をさせてもらえないこともある。そんなことを見てきたので、いやいやそうじゃないんだ、ということで「強み」を分析するツールを導入することにした。

なぜこれを実施することにしたか(裏の目的)
でも本当のきっかけはこれではない。ストレングスファインダー実施の思いつきは、チームビルディングのためである。
だいたい、世間的にあまり評価されてない人は、自分で自分を卑下してしまう。でもそれでは本人に自信がないまま生きなくてはならず、面白くない。ならば、人に弱みなんてなくて強みばかりなんだ、だからもっと自信持って楽しくしようよ、と言ってやることが大事だ。
そこで、強みしか結果に出てこないストレングスファインダーの出番である。
先に数人にやらせる
仕事先のチーム全員にいきなりやらせても、そもそも何がなんだかわからずこのワークショップに対するモチベーションは低い。モチベーションを上げさせるため、事前に数人にストレングスファインダーを模擬体験してもらう。ホストの自腹でストレングスファインダーのテキストを数冊購入して、アーリーアダプターっぽい人にタダで配るのだ。で、受験してもらう。そういう人が興味もってくれたら間違いなく周りに言いふらすので、周りの人も興味を示す、という算段。

決裁権を持っている人を説得する
決裁権を持っている人(普通の会社だと上司とか人事部とかそういうところ)に、ストレングスファインダーを実施するとどんないいことがあるのかを説得する。人事部では人材採用のときにこの類のテストを受けさせたりしていることもあるが、その結果を受験者本人にフィードバックしないことも多々ある。ので、今回のようにフィードバック前提とすることをどう考えてもらうかが大事。
ちなみにコストは、テキスト代がひとりあたり\1,680で、受験とワークショップの時間的コストがひとりあたり2.5時間分ぐらい。今回は20名強に参加してもらったのだけど、このコストをどう捉えるさせるかも大事。

テキストを買う
テキストは、「さあ、才能に目覚めよう」。20冊ぐらい大人買い。他の性格診断ツールと比べても驚くほど安いと思う。

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす

受験してもらう
1週間ぐらい時間をあげて、各自に受験してもらう。所要時間は30分ぐらいと伝える。この時点で、テキストの中身を読ませる必要はない。私は、テキストを配る際、受験のURLが書いてあるページに付箋を張り付けてあげた。つまりそこだけ読めばいい、と。

受験結果を教えてもらう
受験結果として出てきた5つの強みを報告してもらう。

ワークショップ初日(1時間目)開催
参加者(20名ぐらい)に一か所に集まってもらってワークショップ開催。
まず、各々からもらっている受験結果に従って、強み分類シートを各自に配る。こんな感じのやつ
カウンセラーとかファシリテーターのプロが見たら総ツッコミを受けそうだが、わかりやすくするために強みを円グラフ化し、色分類をしている。この色分類は下記による。円グラフは、上位のものから順番に33%、26%、20%、14%、7%ぐらいの割合。こういう誘導はほんと怒られそう。だってこれがすべてのはずないんだし。うーん。悩んだ。終わった後でもこれで良かったのかと悩んでいる……。

青:かかわり合う才能
共感性、個別化、コミュニケーション、親密性、責任感、調和性、包含、指令性 コミュニケーション
緑:影響を与える才能
競争性、最上志向、社交性、指令性、成長促進、ポジティブ
ピンク:努力する才能
回復志向、活発性、規律性、自我、自己確信、信念、達成欲、適応性、目的志向
オレンジ:考える才能
アレンジ、運命志向、学習欲、原点思考、公平性、収集心、慎重さ、戦略性、着想、内省、分析思考、未来志向


そして、受験結果に対する各々のエピソードを思い出してもらうため、シートを配る。書かなくても話せればいいのだけど、いきなり振られて話せない人もいるため、「記入するアクション」を取らせる。

そして3〜5人が1チームになるようにチーム分け。各テーブルに、模造紙とペンとトーキングオブジェクトを置く。トーキングオブジェクトというのは、話す人が常に持つアイテムのこと。ここで言うところのぬいぐるみ。
そして10分時間を与え、チームの中の1名が主役となり、自分の強みとそれにまつわるエピソード(さっき書いた紙)について話す。周りの人たちはそれにたいして質問をする。しかしいきなり質問しろといっても質問できないこともあるので、そのときはお助け用に何が出るかなカードを使う。名づけてごきげんよう方式。こんなことが書いてある。

そのエピソードのような話は、あなたにとってよくある話ですか? 珍しいことですか?
あなたをよく知る人物(家族や友達など)は、あなたのそのような行動に対して、普段どんな対応をしていますか?
そのようなエピソードの行動は、いつ頃から行うようになりましたか? 小さい頃からですか? 最近ですか? それとも普段はそんなことはしていませんか?
そのような行動をするあなた自身を、自分ではどのように思っていますか? 好き? 嫌い?


もちろん、盛り上がってるチームは何が出るかなカードを使わずに10分が終わることもある。それが理想。必ず1人1つは質問が出るように促す。(「参加してない」人が出る状況は避けたい)
出てきたエピソードや質問は、常に模造紙に落書きする。書式自由。わかればなんでも良い。

10分経ったら、メンバーは次のテーブルに旅立つ。ワールドカフェ形式。次のテーブルでも同様にやりとりが開始される。しかし自分でやっておいてなんなのだが、模造紙に書かれた内容はあくまで個々人にまつわるものであって、ワールドカフェのように共有すべきものではないんだな。これは形式にとらわれたな、と自己反省。

なお、チームのメンバー構成は、ワールドカフェとは違い、先にホスト側で人選を決めておく。だいたいは個々人の強み資質を見て、同じ強みを持っている人を同じテーブルに置く、などする。(でもこれがかなり大変……。そもそも同じ偏りの強みの人たちで話させても意味あんのか状態になりかねないので、これは恣意的でえぐいかもしれない。)

全員終わったら、自分の結果を振り返りつつその日の感想を付箋に書いてホワイトボードに貼っていってもらう。また、一緒に参加した他の誰かについて、こんなことを知りたいということも別の付箋に書いてホワイトボードに貼ってもらう。

ワークショップ2日目(2時間目)開催
最初のワークショップから1週間後。
初回のテーマが「自分を知る」で実施したということにして、今回は「相手を知る」ことに主眼を置く。
これぐらいになると、特に促さなくてもわりと自分の強みの部分ぐらいはテキストを読み込んでいる状態になっている(はず)。(実際はそうでもない人もいた。反省。)

「相手を知る」というか、「自分を相手に知らせる」ようにする。パワポでスクリーンに一人一人の強みを表示しながら、そのエピソードを20人の前で話させる。つまり、ワークショップ初日に3〜5人でやった内容のリピート。全員一度は話している内容なので、言葉に詰まることは(あまり)ない。時間は一人2〜3分。そんなに深くは話せないが、一緒に仕事してるメンバーの性格が話されるわけで、みんな興味津々になる。ここもなるべく質疑が多いほうが良いので、つっこみ役をやってくれそうな人に、事前にちょこちょこっとお願いをしておく。



20人が終了したら、今度は講義形式。こんなスライドを使って、このチームの傾向などをホストがしゃべる。スライドは事前に1週間で作っておき、テキストからマーカス・バッキンガムっぽい言葉をひっぱってきて切り貼り。この辺はどっちかというとお遊び。あまり本質ではないが、ランキング形式や分類をするだけで人は興味を持ってくれるので使った。今回の場合、チームの数は5つぐらいあったので、各々のチームについて話した。
このとき、各自に青色の付箋と赤色の付箋を配布しておく。自分の所属するチームの解説がでてきた場合、納得したら赤色の付箋を自分の机に貼ってもらい、納得しなかったら青色付箋を貼ってもらうことにした。付箋自体にはあまり意味はなく、へーへーやためしてガッテンのように、参加してもらう意識を植え付けるために用意した。

最後はその付箋を、一枚の模造紙上にまとめて張り付けてもらう。まぁ納得の付箋も多かったのだけど、納得できないぜ付箋も多々あり。
これで終了。
「え?これでワークショップ終わり?(ぽかーん)」という意見もあり、締め方は課題を残した……。

得られた成果
性格診断なんて普段の仕事ではやらないことなので、普段は「会議うぜー」と言っている人たちが超興味津々になってくれた。人の本質的なところを突くので、仕事の人間関係を超えて濃密なやりとりが発生した。普段はプンスカしている仕事相手に対して優しくなれた人もいた(かもしれない)。

根本的な反省点
ではこれで、当初の目的が達成できたかというと、できていないのだ。当初の目的は、自信を喪失しがちなメンバーの気持ちを楽にさせてあげて、その人の強みをそのまま仕事に活かしてもらうことだった。しかしできていない。おもに理由は二つ。
1つは、素の自分をさらけ出せないこと。性格診断をしてその結果を他人にさらけ出すには相当な勇気がいる。取り繕って話してしまう人も少なからずいたし、自分について話すのがつらい人だっている。
2つ目は、その強みをそのまま「強み」と認識できないこともあること。例えば「内省」とか「原点思考」とかが出た場合、「これって仕事上には障害なんじゃない?」と思ってしまう人がいること。つまり、強みといえど裏を返せば弱みだよね、と思われてしまうのだ。
この2点を解決できなかったことから、私は反省している。

この反省点は予測できたことなのに
そもそも、この反省点は実施前から予測可能だった。というか予測していた。ストレングスファインダーの実施前に、このテストに詳しい友人何名かに相談してアドバイスを受けていたことなのだ。性格診断ツールを使っても、その結果をどう活かすかが大事なのであって、受けただけだとほんと意味がない。自信喪失しがちなメンバーが、この結果を受けてポジティブに新しい考えをしてくれたりとか、なんでもいいから何か良い変化があればいいのだけど、なんかあるのかなぁ。
そこまでお前が考えるのはおこがましいとも言われそう。
ストレングスファインダーを実施して、コストも相当かけた分だけ一定の評判や波及効果はあったと自負していて、表面的には成功っぽいんだけど、自分の思いのスタートと比較すると効果が見えないわけで、実施後1か月、悶々としたままの自分なのである。

というわけで、このままで引き下がるのは癪なので次につながるワークショップをしたいと思っている。今度くわしそうな人に相談してみようと思う。
その反面、いまだにこの件をひきずってしょんぼりしていてつらいぜ。くー