とても優秀で、どんどん仕事を任せていた女の子がいた。
しかしその子は旦那の転勤で東京を離れざるをえなくなり、退職していった。しかしあまりにも優秀だったので、転勤ごときで仕事を辞められるのは惜しいと思い、スカイプとメールで仕事ができる環境を整えて、その後も仕事を振り続けた。
そうこうしているとその子は妊娠をし、「さすがにお腹が大きくなってくると仕事を続けるのは難しいです」と言ってきた。おめでとうと言いつつも、優秀な戦力がいなくなってしまうことに嘆き悲しんだのであった。

あれから数カ月。その子は無事赤ちゃんを産んだ
先日、たまたまその子が今住んでいる那覇市某所の徒歩圏内に行く用事があったので、小一時間ほど会ってきた。
私は仕事の人手不足に悩んでいるときだったので、「またスカイプで一緒に仕事してよー」と、ママとなったその子に言ってみた。
しかし赤ちゃんはまだ産まれて5カ月。さすがにまだママは仕事ができる状況ではない。

女性がキャリアを考えるうえで、妊娠・出産というイベントにぶち当たったときどうするかという問題。私も頭では理解していたけど、こうしてママを目の当たりにすることで感じるものがある。
どんなに仕事のできる優秀な女性でも、出産の際には仕事から離れざるを得ず、産後に仕事復帰する労力は私なんぞの想像を超えるだろう。
正社員で産休を使って出産したのならともかく、その子の場合はフリーランスで仕事をしていたので、今後その子供が大きくなったときに組織として仕事を振れるかどうかは分からない。
ちなみに「就職すること」に関して女性が差別されることはないと私は思っていて、最近の完全失業率に男女で大きな違いは見られないことからもそれは言える。(via 男女格差のデータは女性差別を意味するか? ─ 社会学者・小宮友根の誤診
むしろ例えば新卒だけに絞ってみてみると、女性のほうが男性よりも就職できている。(via 「率」だけを見ればそうかも知れないんだけど…… 読売新聞の言う現実的選択って何だろう

二元論は良くないが、個人的にも女性のほうが男性より仕事上優秀なのではないかと思っている。
しかし、出産で仕事を離れざるを得なくなり、そのまま仕事復帰せずにいる人が相当いるんだろうなぁと思うとじつに惜しいと思う。
いや、べつにその女性自身が仕事に復帰しないことを望むのならば良いのだけど、「諦めること」により仕事に復帰しない人がいるのではないかと予測するから惜しいと思うのだ。女性は優秀なのに、仕事を諦めてしまう人がいるとしたら──。

例えば総務省の労働力調査の最新(2011年10月)のものを読みこんで見ると、10月は女性の非労働力人口が22万人減少してその分が労働市場に流れ込んできている。(via 労働力調査 時事ドットコム【図解・経済】完全失業率と有効求人倍率(最新)
15歳以上人口における労働力人口比率(働いてる人と職を求めている人の合計を人口で割った数字)は男性で70.9%で、女性は48.5%である。つまり女性はそもそも2人に1人が働こうとさえしていない。(ハローワークに登録していない)
けれど10月の数字を見ると、それまで働こうとしてなかった(ハローワークに行ってなかった)女性22万人が「働こう」としているのである。
なおその結果、女性就業者は12万人増えている。

上記の数字から、働こうとしていなかった女性でも、職に就けるということがなんとなく分かってきて心強い。
働く必要がないから働かないのはべつにいい。でも「どうせ仕事なんてないし」と思って働かないのはもったいない!

けれど、女性の立場にたってみると、就職口は無いよなぁと諦めてしまう思う気持ちもわかる。とくに結婚して出産した立場の女性の場合。子育てしながらフルタイムで働くのは難しいため、パートタイムで時間の融通が利く仕事を探さなければならない。でも出産前はオフィスでホワイトカラーとしてバリバリ仕事をしていたような女性の場合、パートタイムで働けるオフィス環境なんてなかなか見つからないよね。

先ほどの労働力調査についてであるが、女性が働き口を見つけられているといえど、おそらくその多くは「世帯主の配偶者」(つまり旦那のいる人)であり「短時間労働」勤務者であると考えられる。
配偶者の失業者数は、9月の35万人から10月の41万人に一気に6万人増加している。就業者の中でも30時間未満就業者の女性数は、9月の859万人から874万人に15万人に増加している。
つまり、非労働力人口から移ってきた女性の労働力はこの層が多いと言える。
(via 世帯主との続き柄別完全失業者数(エクセル:40KB) 就業時間別就業者数(エクセル:43KB)

(ちなみに2010年11月には女性の非労働力人口が24万人増えるという今回とは逆パターンが起こっているが、その際には配偶者失業数は7万人減少し、30時間未満就業者の女性数も31万人減少している。)
(世帯主の配偶者=女性という考え方はアレなんだけど、世帯主の性別比率データがどっかにあったら見せてほしい!)


そんなわけで、いろいろ考えていたら出産後の女性が働ける場を作らねばならないと真剣に思えてきた。恋愛婚活市場においては高年収の男性が人気なわけだが(via 第14回出生動向基本調査 結婚と出産に関する全国調査 独身者調査の結果概要)、翻ってそれは女性が出産後に働ける環境がないことへの不安への裏返しでもあるわけで、出産後の女性の活躍についてもちゃんと考えねばならないと思うのだ。

さて、たまたまこのタイミングで、私のもとで働いてくれる新しい人を採用したくなってきたので、ここぞとばかりに出産後の女性(主婦と呼ばれるクラスター)にターゲットを絞って、労働時間も融通を利かせる条件で求人することにした。おかげさまで学生時代から人材業界の繋がりがあるので、周囲の人材屋に相談していい形でまわりはじめた。
採用後にはどんな働かせ方が適しているのか、雇用側としてチャレンジしてみようと思う。想像していない難問が待ち構えている気もするが、やってみないことには課題が分からない気がしている。