イベント決済ツール「PeaTiX」がローンチされてまもなく一年になる。
ちょうどローンチされたその一年前、私はtwitterでこんなふうにつぶやいた

PeaTiXの件について。演劇チケットだと既にGettiやらCoRichやらプレイヤーがいるけどソーシャルと名をつけるとなんかすごそうになるな。がビジネスとしてこのフィーでいけるんだろうかという謎はある。決済代行使ってるわけじゃないのかな?にしてもこの支払サイトの短さとかやるな

この一年で、演劇チケットをPeaTiXで売る劇団もちらほら出始めてきた。
6%のフィーで、代金回収の不確実さをカバーできるのだ。

そんな折、先日PeaTiXの中の人とおしゃべりしていたところ、小劇場業界でももっと使えそうな気がしてきたのでここで整理しておこうと思う。

PeaTiXはぶっちゃけ事前審査もなくカード決済やコンビニ支払いで個人から資金回収できるという斬新なシステムで、ネット上での資金決済が異常にやりにくいこの国で革新的なサービスである。が、そこは演劇人にはあんまり関係ないので省く。

演劇人にとってのメリットは、下記に分けられよう。
マーケティングの4P的なこと書いちゃうと、Productは公演そのものだから置いておくとして、

■販売チャネルとしての利点(Place)
・発券がオンラインで完結する
・複数の公演を買ってもユーザーのアカウントは一個でOK
・信用のない劇団でもクレジットカード決済、コンビニ決済が使える

■価格としての利点(Price)
・フィーが安い
・支払いサイトが短い

■販売促進としての利点(Promotion)
・ソーシャルメディアで公演告知の拡散が可能

という感じかな。

もちろん今までもそれぞれの利点をになうサービスはあったが、総合的にここまでメリットの多いサービスでどんな劇団でも使えちゃうというのは強い。

もうちょっと細かく見ていこう。


販売チャネルについて。

劇団は、たくさんの人にチケットを売りたいものだ。そうするとあらゆるルートを使ってチケットを売りさばこうとする。役者がお友達に売りまくる手売りがもっとも確実だが、ウェブサイトから売ったりプレイガイドで売ったり劇場とかどっかに置いてもらったりいろいろ手はあるものだ。販売チャネルが増えれば売れる数も増える。


価格について。

とはいっても販売チャネルを増やせばその分コストもかかる。
しかしPeaTiXは成功報酬なのでチケットが売れた分にだけお金を払えばよい。

そして置きチケでほんとに来るかどうかわかんなくて売上が確定できないヤな感じを払しょくできる前払い方式なのでじつにすばらしい。

支払いサイトの短さ(公演終了後5営業日以内に振込)も特筆すべきところだ。しかしかつて私はこんなことをつぶやいている

そしてイベントやる人たちって、そもそもイベント終わったあとに現金回収しても大丈夫なのだろうか。前売りで多少安くてもさばいて先にキャッシュ確保したいような。小屋や裏方への支払〆は翌月末ですとかいってもらえればいいけどねぇ

つなぎ融資なんて受けられるはずもない弱小劇団としてはキャッシュが欲しいので、支払いサイトをもっと短くして、先にチケット代の入金があるとうれしい(のではないか)。
しかし、そんなに簡単に入金が行われると、実質的にPeaTiXが為替取引を行う資金移動業者になるな、と今気付いた。難しいだろうか。


それから販売促進について、ソーシャルメディアの優位性は今さら説明するまでもなかろう。


演劇チケット分野でPeaTiXのコンペティターは手売り、置きチケ、CoRich、Gettiみたいなとこ、な感じだろうか。
手売りは代金回収が確実なので良いとしても、置きチケは売上が不確実なのでさっさと前売り方式のPeaTiXに切り替わってほしい。(当日券が前売券より安くなる文化が根付けば必然的に置きチケ文化も消えてくれそうなんだけど……)
CoRichチケット!は小劇場でたくさん使われている気がするが、決済機能を持っていないのでここにPeaTiXを組み合わせれば完璧だ。
Gettiはあくまで間接的なコンペティターだけど、そうそうたる劇場が導入していてカンフェティなんかも使っている。が、あのイケてないインターフェイスと劇場ごとにID発行しなければならず、もはやどこの劇場のASPでどのID作ったのか覚えられない私としてはほんと使いたくない。ログインしないとチケット残数見えないし!

ということでPeaTiXにはがんばってもらいたいし、何よりソーシャルで拡散して演劇に興味のないお友達を劇場に連れてこられる可能性を信じたいのである。