最近のブログ界隈・チェーンメール界隈でブームとなった心理テストについて、思うことを書いてみる。
なお、もう既にこの心理テストも下火か。

まずは、原文。(バリエーションはいくつか散見されるが、基本形は大体同じ。)

これはアメリカのゲームです。1度やってみてください。これは、たったの3分で、出来るゲームです。

試してみてください。

驚く結果をご覧いただけます。

このゲームを考えた本人は、メールを読んでからたったの10分で願い事がかなったそうです。このゲームは、おもしろく、かつ、あっと驚く結果を貴方にもたらすでしょう。

約束してください。絶対に先を読まず、1行ずつ進む事。
たったの3分ですから、ためす価値ありです。
まず、ペンと、紙をご用意下さい。先を読むと、願い事が叶わなくなります。

?まず、1番から、11番まで、縦に数字を書いてください。

?1番と2番の横に好きな3〜7の数字をそれぞれお書き下さい。

?3番と、7番の横に知っている人の名前をお書き下さい。(必ず、興味のある性別名前を書く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら同性の名前をかく)

必ず、1行ずつ進んで下さい。先を読むと、なにもかもなくなります。

?4、5、6番の横それぞれに、自分の知っている人の名前をお書き下さい。これは、家族の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。

まだ、先を見てはいけませんよ!!

?8、9、10、11番の横に、歌のタイトルをお書き下さい。

?最後にお願い事をして下さい。

さて、ゲームの解説です。

1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人に伝えて下さい。
2)3番に書いた人は、貴方の愛する人です。
3)7番に書いた人は、好きだけど叶わぬ恋の相手です。
4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思う人です。
5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く理解してくれる相手です。
6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらしてくれる人です。
7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す歌。
8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す歌。
9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す歌。
10)そして、11番に書いた歌は、貴方の人生を表す歌です。

このメールを読んでから、1時間以内に10人の人にこのメールをお送り下さい。

そうすれば、あなたの願い事は叶うでしょう。もし、送らなければ、願い事と逆のことが起こるでしょう。とても奇妙ですが、当たってませんか?

いろんなブログを見てみたり、人からチェーンメールが回ってきたりするのを見ていると、どうやらこの心理テストは「すっげー!当たってる」類のものらしい。
みんなやってみれくれ。

しかし。
「当たってる!」と言われても、「そりゃそうだ」と私は思う。
だって、この心理テストはどうやったって絶対当たるように出来ているのだから。

当たらない方がおかしい。

ではその仕組みを、「質問文」と、心理テストの「回答」を照らし合わせながら見てみよう。

?3番と、7番の横に知っている人の名前をお書き下さい。(必ず、興味のある性別名前を書く事。男なら女の人、女なら男の人、ゲイなら同性の名前をかく)

これの回答の解説は、以下の通り。

2)3番に書いた人は、貴方の愛する人です。
3)7番に書いた人は、好きだけど叶わぬ恋の相手です。

ここでは、質問文の括弧書きの中がポイントである。「必ず、興味のある性別名前を書く事」。こんなこと言われたら、気になってる人の名前しか書かないだろ!
良い点をついてるのは、「ゲイなら同姓の名前をかく」というところだ。ここでは「ゲイ」という性の部分を明確に出しているから、必然的に回答者は「男女」という恋愛関係に頭を働かせる。だから、どうやっても回答者は「気にしている人=好きな人」の名前を挙げてしまう。
で、回答を「3番」に書こうが「7番」に書こうがそれはどうでもよくて、それが「愛する人」なのか「叶わぬ恋の相手」なのかは、当人が勝手に思いこめばその通りになるので説明はいくらでも付く。
よって、これははずれようがない。

次。

?4、5、6番の横それぞれに、自分の知っている人の名前をお書き下さい。これは、家族の人でも知り合いや、友人、誰でも結構です。

回答の解説はこれ。

4)4番に書いた人は、貴方がとても大切に思う人です。
5)5番に書いた人は、貴方の事をとても良く理解してくれる相手です。
6)6番に書いた人は、貴方に幸運をもたらしてくれる人です。

ここでは、「自分の知ってる人」の名前を書かせておきながら、例として「家族」だとか「友人」という、自分にとっての「好感度の高い」人を書かせる誘導が質問文の中で行われている。あくまで「例」として見せておきながら、その実、回答を想起させているのだ。
そして、回答の解説のほうもどうにでも取れるものだ。
「貴方がとても大切に思う人」は、そりゃここで名前を出せるぐらいの「好感度」の高い人なのだから、当たり前に合致する。意外な人の名前が出てきても、既に前提として、「好感度の高い」人の中から選ばれた人物の名前なのだから、「そうかなぁ」と納得してしまう。
「貴方の事をとても良く理解してくれる相手」「貴方に幸運をもたらしてくれる人」の2つに至っては、自分がどう思おうが、その人主導のニュアンスの書かれ方なので(その人が自分を「理解してくれる」、その人が自分に「幸運をもたらしてくれる」)、誰でも当てはまっちゃう。こちらも前提として、「好感度の高い」人の中から選ばれた人物の名前なのだから、「そうだよな」と納得してしまうのだ。
この質問文が、仮に「これは、嫌いな人でも知り合いや、会いたくない人、誰でも結構です。」なんていうふうにネガティブ要素満載のものだったっらとしたら、納得感ある答えは返ってこないだろう。

次。

?8、9、10、11番の横に、歌のタイトルをお書き下さい。


7)8番に書いた歌は、3番に書いた人を表す歌。
8)9番に書いた歌は、7番に書いた人を表す歌。
9)10番に書いた歌は、貴方の心の中を表す歌。
10)そして、11番に書いた歌は、貴方の人生を表す歌です。

歌なんて解釈自由だから、なんでもokじゃん。

あとは、

1)このゲームの事を、2番に書いた数字の人に伝えて下さい。

とか書いたりなんとかして、「あなたの心の中を読んでますよ」的雰囲気を醸しだして体裁を整え、回答者を信じ込ませるのである。


回答者は気づかぬうちに、質問文から答えの範囲を想起してしまっている。
誘導されても気づかない回答者。

へんな「市場調査」でも、それはいかがなものかという想起型の質問をたまに見かけるが、気づかぬところで質問者の思いに誘導された答えをしてしまったりするのが、こういう「質問」の怖いところである。

ああ、この世の中を何も考えずに生きていくのは恐ろしい。
こんなトリックは、分かってる人は言われなくても分かるんだろうけど、分からない人はその後の人生どうなるんだろうとか最近いろいろ思うところがあり、敢えてここに記してみた。
たぶん、自分もいろんなところで騙されて生きているので、今後の生き様についてすごく怖く感じるのである。