いろんな意味で何かと話題のセカンドライフだが、密かに私もセカンドライフの中に土地を持っている。レンタルだけどね。
土地を持とうと思ったとき、セカンドライフの「日本人居住区」をいろいろ探してみたのだが、なかなか面白い現象を目の当たりにした。

それは、現実世界での土地名が、セカンドライフ内でも一種のブランドとして通用している、ということである。

日本人向けにセカンドライフ内の土地を開発し、賃貸を始めたところとしては、MagSLが有名だろう。山手線エリアの土地名をSIMに命名し、個人・法人向けに賃貸を始めた。このエリア(MagSL Tokyo)への参入法人としては、ブックオフやネクストなどがある。
このSIMの名称には、Ueno、Shinjuku、Shibuya、といった現実世界の名前が付けられているのだ。

これはとてもわかりやすい話である。
セカンドライフとは何かみたいな説明をするとき、「これはメタバースと呼ばれるバーチャルな空間で……」とか言っても理解してくれないど素人のおじさんにも、「バーチャル世界に新宿とか渋谷が存在してるんです」と言うとすぐ納得してもらえたものだ。

MagSLの例は、日本でセカンドライフが話題になり始めた初期の段階(といっても今年前半)の事例なのだが、最近はMagSL以外にも多くの日本人居住区が開発されてきている。
そして、それらは、多くが日本国内にある「現実の」地名が付されていることが多いというのが特徴的である。
自身もSIM賃貸を事業として行っているSLingのサイトに、SLURL日本地図なんていうのまであった。
SL Style Magazineの日本SIMリストにも、日本地名があるSIMがいくつも載っている。

ちなみに我らが愛知県の地名が付けられたSIMとしては、「NagoyaCentral Nippon」というところがあり、テレビ塔っぽいのが建っている。中には、テレビ塔のほか、ナナちゃん人形があったり金のしゃちほこがあったり、バーチャルなのに愛知県民の地元大好き意識がそこかしこに見える誇らしい空間である。

そして先週発表になったのだが、MagSLも東海地方SIMへの参入を決めて、MagSL Tokaiというエリアの賃貸募集を開始した。(そしてここにもやっぱりテレビ塔が建っている。)
MagSLの事業モデルとしては、近隣SIMに法人の参入を促すところにあるのだが、彼らはどうやら名古屋基盤の企業に営業をかけているらしい。既にMagSL Tokaiに参入済みのところとしては、ピープルスタッフ、ユニー等があるが、これらは名古屋の企業である。(参考:セカンドライフに「栄」「金山」などのエリア出現−新東通信などが開設 - サカエ経済新聞 - 広域栄圏のビジネス&カルチャーニュース

バーチャル空間で完結しているはずのセカンドライフにおいて、このように日本の実際の土地名が付けられる、というのは何とも不思議な事例である。しかし一方、地元大好き愛知県民が集って参加していたり、現実世界の土地名名古屋とリンクしたSIMに参入する企業もあるわけで、その考え方も分からなくはない。

ところで、キャズムを超えろ! - 『リアル連携するバーチャルワールドをケータイを活用して楽しむ』Webサービスは流行るか!?ではこのように言っている。

そこで表題の『リアル連携するバーチャルワールドをケータイを活用して楽しむ』Webサービス、という話題につながる。ケータイでブラウズするバーチャルワールドを作るのだが、リアルとリンクしている部分をそこかしこに用意してやる。果たしてそんなサービスが使っていて面白いのかどうか、は作り手側の調整ひとつ。リアルにつなげることができれば日本国内限定で十数万人程度の会員数であっても、十分に広告モデルが成立しうる。リアルとの交渉力が強い大手にとっても、こういった攻め方ならまだ攻め処が残っているのではないだろうか。

セカンドライフの成長には、現時点では懐疑的な人々が多いが、リアルとの連動という意味では私は非常に興味深くこれを見ている。

SBIの東京0区構想や、トランスコスモス等のmeet-meも、おそらくリアルと結びつくことに一つの意味を見出しているわけで、この分野を「単なるバーチャル」として一蹴してしまうのはもったいない話だ。
バーチャルワールドはローカル広告等の広告モデルだけでなく、(浅はかな言葉だけれど)街づくりなんかにももしかしたら使えるようになるかもしれない。

ちなみに、asahi.comにあった浅枝さんところのメルティングドッツの紹介記事が面白い。バーチャル空間も、すぐにテレポート出来るという効率性だけでなく、現実と同じような「偶然」が魅力ということだ。
これは、効率的なバーチャル空間と、非効率な現実世界とが、実はどこかで親和性を持っていると言える根拠と言えはしないだろうか。
おそらく今後、リアルとバーチャルはよりシームレスになり、「ユビキタス社会」と「バーチャルワールド」が一緒くたに語られるようになるのだろう。

↓NagoyaCentral Nipponのナナちゃんhttp://slurl.com/secondlife/NagoyaCentral%20Nippon/38/161/22

SecondLifeのナナちゃん

↓NagoyaCentral Nipponのテレビ塔みたいなものhttp://slurl.com/secondlife/NagoyaCentral%20Nippon/129/128/22

SL nagoya

↓MagSL Sakaeの精巧なテレビ塔(きれいだったので夜モードで撮影)http://slurl.com/secondlife/MagSL%20Sakae/128/129/22

SL Magsl_sakae

↓Kanazawaにある金沢21世紀美術館http://slurl.com/secondlife/Kanazawa/121/200/22

SL kanazawa

↓21世紀美術館の中には現実にあるこんなものも再現http://slurl.com/secondlife/Kanazawa/93/230/22(参考:[N] プールの中にいる気分に浸るアート

SL kanazawa

↓Kichijojiにあるハモニカ横丁http://slurl.com/secondlife/Kichijoji/179/129/24

SL kichijoji