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続いて、2017年ミュンスター彫刻プロジェクトへ行ってきた。
ミュンスター彫刻プロジェクトは、10年に一度しか開催されないので体験できるのが超貴重である。

ミュンスター彫刻プロジェクト(Skulptur.Projekte)は、ドイツ連邦共和国の北西部、ノルトライン=ヴェストファーレン州の都市ミュンスター(Munster)で、10年に一度夏の間だけ開催されるアートイベント。公共空間と芸術作品の関係がテーマで、芸術家が事前に町に滞在し、町や住民のことをよく調査した上で作品と設置場所のアイデアを出し、滞在制作し作品を設置するというやり方を1970年代から取り入れていたことが特徴。
wikipediaより


これはどこかの誰かから聞いた話だが、大地の芸術祭や瀬戸内国際芸術祭といった日本の地域アートプロジェクトを引っ張る北川フラム氏は、ミュンスター彫刻プロジェクトを参考にして日本の芸術祭をつくったのではないかという説がある。
実際にミュンスター彫刻プロジェクトを見てみて、確かにそれらの国内の芸術祭と大変似ていると感じた。

街のいろいろなところに作品が置かれているのだ。
そして、過去のミュンスター彫刻プロジェクトにおいて製作された作品が、それ以降も恒久展示されている例もある。
大地の芸術祭や瀬戸内国際芸術と同じだ。

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街のいたるところへの作品展示というと、野外に置かれた作品も多い。
また、街中だけでなく、街の中心から離れた場所や自然の中に設置された作品もある。

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へんな場所に作品が置いてあるので、その周囲を歩いていると何が作品で何が作品でないのか分からなくなってくる。そのへんの何気ないものまで全部アートに見えてくるというのも、国内の(地方の)芸術祭でよく体験する。

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ミュンスターは街自体がとても魅力的である。だからこそ、その街の空間にマッチして作品が溶け込み、アートがよくわからなくてもなんだか面白いと感じられるのであった。

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↑アート作品に入って遊ぶ子どもたち。


ミュンスター彫刻プロジェクトは、まずミュンスターで生活する街の人々に楽しんでもらうことを第一義に考えているようだ。
これはこのプロジェクトのスタートが、観光誘致目的ではなく、地元行政によるアート作品の購入に市民が異議を唱え、そこに対する教育(対話?)を目的としていたという歴史からも読み解ける。

だからこそ、アート至上主義のような、地元を無視してアート作品が存在するみたいな本末転倒なことはおこなっていないと感じられた。あくまで地元の中にアートがあるのである。
最近では国内でも札幌国際芸術祭での本末転倒事件があったところだが、そういった事例だけでなく、謎の「地域おこし目的」でアートが使われ、芸術祭が開かれる日本の地域もあるわけだ。ミュンスターの「形」だけを真似ても全然意味ないぞということを、肌感として感じられたのであった。

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