中心市街地活性化に大ゴケした青森市に対しては、「なんでそんな意思決定しかできなかったの?w ウケルw」という感想を抱いた。
一方で、既に財政破綻した自治体として有名な北海道夕張市に対しては、その実情を聞く限りなんだかかわいそうになってきて、笑っていられない。

何せ、財政破綻は数十年前からの蓄積が原因だからだ。
例えば今の夕張市長は30代だが、世代的にも彼には財政破綻の責任は何もない。というか出身地すら夕張ではないのに、夕張のために汗を流している。

おととし、夕張市にふるさと納税で僅かながら寄付をした。
返礼品は希望していなかったが、地元の小学生が歌った曲の入ったCDが送られてきた。精一杯のお礼の形なのかと思うと複雑な気持ちになった。

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そんなわけで、今年、夕張に行ってきた。

財政破綻した街を見に行ってやろうという、いけすかない動機で出かけたわけだが、いわゆるダークツーリズムであるので、堂々とそのへんを徘徊するのも憚られる。

とりあえず夕張駅に観光案内所があったので行ってみたけど、シャッターおりてるし。

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どうしようかなと思いつつ、ふらっと入った市内の居酒屋(?)でビールを飲んでいると、ある男性と相席になった。
話しかけてみると、夕張市の関係者だという。これはいいとばかりに、現状の夕張市について根掘り葉掘り聞いてみた。
そのうちなぜか仲良くなってしまい、「財政破綻した街の様子を見たいんですけど、どこいけばいいですかね?」と聞いてみる。
そしたら「市役所の観光課に行ってみたら?」と言われる。
えー、ダークツーリズムの案件を役所に聞いていいものだろうかと逡巡していると、「大丈夫だよw」と言われる。

そんなわけで翌日、さっそく市役所へ出かけてみた。

まず目に入った市役所併設の建物(旧レストラン?)のベニヤで覆われたっぷりが気になる。

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さて、市役所にずかずかと入り込んでいき、観光係的な部署をみつけ、いきなり質問してみた。
「財政破綻した街の様子を見たいんですが……。」と。
そうすると担当者の方は、「そういう観光パンフレットはないですね。」とひとこと。
そりゃそうだ。
行政系の施設で閉鎖になった、図書館や美術館の話はしてくれたけど、市民に影響があるような話はなかなかしづらいだろう。
しかし夕張に来る人たちのうち、少なからずダークツーリズム要素に興味を持つ人たちはいるはずだ。そういうニーズは把握してないんですかと聞いてみると、自治体の視察なんかはあるらしい。けど民間人向けにはやってないようす。
そうこう話していると、担当の方もなんかすいませんという雰囲気になってきた。いやいや、こちらこそ超失礼ですいませんなのだが、きっと予算も無い中やりたいこともできず、ご苦労されているんだろうなという様子がうかがえた。
ちなみに観光協会も、いまや兼務の職員(?)さんしかいないそうだ。

私が訪ねたこの部署も、観光の仕事のみをしているわけではなく、産業振興課の下にあったので観光に限らずいろんな事業者の相手をしているんだろうな。

さて、とりあえず役所の方に教えてもらったところに行ってみる。まずは旧図書館。
ずいぶん前から閉鎖中。

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つづいてプラプラしていて見つけた炭鉱住宅。
かつてこういった住宅に人がたくさん住んでいたらしい。

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それから、これまた役所の方に教えてもらった、民間NPOがやっているという炭鉱住宅を拠点にしたNPO施設に足を運んでみる。

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しかし、営業時間内なのに営業してなかった。どこもかしこもやってないのか。

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ちなみに、夕張市はコンパクトシティ化で、北と南にエリアを分けようとしている。
北は観光、南は住む場所、というように。
(地元民は「ずいほく」「ずいなん」と言うらしい。けどぐぐってもこの言葉は出てこない……。ローカル用語かな?)

南側には、平屋建ての新しい公営住宅もできている。

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また、同じく南側に、行政や交通の拠点が入った新しい施設をつくろうとしている。
着々とコンパクトシティ化を進めているわけだ。

南側には、公営住宅だけでなく、民間のふつうの住宅でも新しめのものが見受けられた。
夕張をおもしろおかしく廃墟として紹介する人もいるが、ちゃんとコンパクトシティ化の流れで新しい建物もつくられているのである。

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ちなみに、東側(といっていいのかな)の、「大夕張」とよばれる地域がある。むかし線路も通っていたのだが、廃線になった地域である。
このあたりは衰退が激しい。廃屋もある。

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けれどなぜかその地域で営業する美容院と理容院(とこや)。2つ並んでる。電気ついてたので絶賛営業中。
よく、衰退していく商店街で最後まで残るのは床屋だと言うが、それを地でいってる感じだ。

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ちなみに、こちらは夕張市の北側のメインストリート。こちらにも美容院がある。こちらも絶賛営業中。写真だとわかりづらいが、こちらも徒歩1分ぐらいの場所に2軒ともある。

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こちらは南側で見つけた美容院。(右側の二階建ての建物。)

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その美容院の前に、パン屋さんを発見!
衰退していく商店街で最後まで残るのが床屋なら、再生していく地域で最初にできるのがパン屋さん、という俗説を聞いたことないだろうか? なんか地域の移住者エピソードで「パン屋はじめました」っていう記事見かけるの多くない?
そんなわけで夕張にパン屋さんを見つけて大興奮の私。

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なんか建物も新しいし、おおっと思ってそのパン屋さんに入ってみた。
で、店員さんと話してみたら、ここは障がい者支援施設で、その一環でパンをつくって売っているそうだった。特に移住者の新規参入というわけではなかった。
もともと別の場所で営業していたそうである。建物も新しそうだったが、6年前に自動車の整備工場だった場所を譲り受け、改装したので新しく見えるということだった。
ちなみにパンは激安で、ひとつ80円とか100円だった。しかも私が入店したのが14:55だったのだが、15:00になると半額になるそうで、「あと5分待ってて!」と言われ、待ってたら全部半額にしてくれた。激安すぎる。
というわけで、ちょっと民間ビジネスとは違う文脈で動いているパン屋さんだった。


ちなみに人口減少しまくったおかげで、小中学校もどんどん廃校になっていて建物があまっている。
再利用されている例も。

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一方で、かといって教育や子育てにお金をかけなければ、街の未来はない。
保育園もちゃんと市内にいくつかあるよ。
わかりづいらいけど左側が保育園。

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そんなわけで、夕張の様子を肌で感じた。
印象としては、たしかに財政破綻でいろんなものが削られているが、しっかり投資にも回しつつあることが理解できた。

一方で、平成30年度の予算でいえば、夕張市は自主財源があまりにも低い。
(グラフは一般会計。)

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つまり、やるべきことには投資をちゃんとする、と言っても、財源の多くは国のお金なわけで、地域が自律的にまわっているわけではないこともよくわかる。

夕張の人口減少度合いや、そうなった背景を見ると、これがすべて日本の将来の縮図というわけでもないと思う。だが、地域として成り立っていないという事実は、どこの地域に住む者としても他山の石にしなければならない。

地元博物館にもあった文字「全国最低の行政サービスと全国最高の市民負担」。
このキャッチーな言葉が身に染みる。

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