周知の通り、地点をもとにした情報サービス(いわゆる位置情報サービス・地図情報サービス)は、今後どんどん発展が予想されている分野である。それによって実現が近づく我々の新たなライフスタイルの可能性を探ると、妄想が絶えない。位置情報サービスは、あらゆる可能性を秘めている。
地点をもとにした情報サービスの代表例に、コンシューマー向けの店舗情報掲載サービスがある。
地図を伴って、ユーザーが指定したエリアのお店情報を検索できるサービスの類である。代表例としては、Googleマップやiタウンページでのローカル検索、ぐるなびの「地図から検索」などが挙げられる。「この近くでうまいもの食べたいなぁ」と思ったときに、Googleマップやぐるなびでその土地の飲食店情報を探すのだ。
で、ちょっと前までであれば、地図から情報が探せるとは言っても、そもそもそれらの情報の掲載量が絶対的に少なくて、「せっかく地図から検索したのにヒットしないよ!」みたいな感じだった。しかし、短期間の間に地図情報サービスも進化し、都心であれば地図情報検索サービスもそこそこ使えるようになってきた。「日本橋でランチしよ。どこかあるかな」「お、いろんなお店あるぞ」というふうに。
が、それでも物足りないなぁと感じている点が一つある。位置情報をもとにした口コミ情報サービスが、全然充実していない点についてだ。
googleマップやぐるなびには、それはそれで情報がいっぱい載っているが、そのコンテンツはあくまでお店側なりサイト運営側がお金をかけて提供してくれている情報だ。ぐるなびだったら、お店側がお金をだして情報掲載をしている。googleマップだったら、NTTが収集したタウンページの情報を(サイト運営側がかき集めた情報を)掲載しているに過ぎない。なんだか、この分野ではこれといったCGMもないし、ユーザーが発信する情報、口コミ情報がほとんど存在しないのだ。Web2.0とかいうやつに全然追いつけてない気がする。
どうだろう、口コミ情報のこの道の日本での先駆者というと、デート通、maplogとかかな。デート通は、ユーザーが各地のデートスポット情報を書き込んでいく口コミサイトで、ちょっとweb2.0っぽい。googleMapsAPIを使って、地点の情報をもとに情報掲載されている。maplogは、地図をもとにして、そのエリアのブログ新着記事を表示するという一種のブログ検索なので、これもweb2.0っぽいと言えるかもしれない。
しかし正直言って、いずれも盛り上がりに欠ける。地点をもとにした有力なユーザー発信メディアが、未だこの世には存在していないのだ。
と思っていたら、なんかおもしろいサービスが始まっていたよ。
街をつくろう、というSNSである。
きょうび後だしのSNSなんて流行らねーよと思ったら大間違い。私の第一印象は、「こりゃおもしろい」である。
街をつくろうは、友達とリンクする機能や、メッセージ送信機能などを持った一般的なSNSの形をしているが、特徴的なのは、すべての繋がりが「街」を起点にしているというところだ。例えばそのユーザーの住んでいる「街」、そのユーザーが買い物をする「街」。それらの「街」によってユーザー同士が結び付けられたり、あるいは情報交換(口コミ)が行われるのである。
SNSとして見た場合、例えばmixiにもコミュニティはたくさんあって、ユーザーが発信する口コミ情報は大量に載っている。しかしmixiのそれは、地点の情報を伴っていない。地点の情報を伴ったSNSというと、今のところWeBAぐらいしかない。そう考えると、街をつくろうの試みは他に無く、斬新でとても面白い。
また、街をつくろうをSNSではなく、単純な口コミサイトとして捉えた場合どうなるか。地域にはそれぞれの地域に、地元の飲食店情報などをモーラした口コミサイトというものが案外存在する。例えば愛知県豊橋市だったら、いただきまっぷとか。しかしこれらの口コミ情報サイトの多くは、ユーザー同士の交流機能が薄いという欠点がある。掲示板的なやり取りはあるものの、あくまでweb1.0的である。個々人がメディアを持つような形の、自立した形式での交流がない。そう考えると、コミュニティ機能を備えた街をつくろうのやっていることは、とても面白い。
位置情報を持つ口コミサービスで、かつコミュニケーション機能が備わっているサービスって、今までありそうでなかったので、私は街をつくろうの登場と今後に興味津々である。(WeBAも面白いが、街をつくろうの場合は、「エリア」というよりも、人の住む「街」に焦点を当てているから、コミュニケーションに温か味がある気がする、と思うのは私だけか。)
なお、口コミ情報そのものは、決して珍しいものではなくて、各種乱立する専門ポータルサイトには口コミ情報がいっぱい転がっているし、CGMたるブログなどでもいろんな情報が散らばっている。で、これから、それらの情報の堆積場所というか、情報の集積地・中心地となるサービスの覇権争いが起こるだろうと思っている。位置情報サービスのポータルはどこが相応しいか、という戦いだ。私の予想では、googleが、経緯度をもとにクロールしてユーザー発信の情報を集めるのだろうと思っているのだが、そんなとき、街をつくろうみたいなSNS上に先に情報が堆積してしまえば、口コミ情報+α部分で、コミュニティのアットホーム加減が加わって、SNSが先に口コミポータルになれちゃう予感がする。
googleが各所に散らばる口コミ情報をインデックス化する前に、街をつくろうにいっぱい情報が集まらないかしらん。
とはいっても、街をつくろうはオープンしたてで限りなく情報量がゼロに近いので、手っ取り早く、既存口コミサイト(いただきまっぷとか)や、既存口コミCGM(じじーどるとか)と提携して、情報を取り込んじゃって欲しい。
街をつくろうは、まずはユーザー規模からして東京の商店街から攻めて行くことになるのだろうが、地方のお店(「商店街」に位置しないような郊外のお店まで)もモーラできるようになったら、超すごいサイトになれるだろう。
位置情報と口コミ情報の融合に、ドキドキワクワクだ。